Imitation Rainという壮大なきっかけの話

SixTONES、BillboardJapan ウィークリー1位おめでとう!

 

Imitation Rainという楽曲とSixTONESについては、音楽文でいっぱい書いたので(このブログを見てくれた人、こちらもぜひ見てほしい というかこちらを見てくれ こちらが本気)ここではImitation Rainと北斗くんについて書きたいなと。あくまでラフにね。

 

 

北斗くんは、SixTONESとしてのパフォーマンスにおいて、いまいち突き抜けることができないのかなと思っていた。というより、本人が葛藤を抱えているのかなと思っていた。

「何やったって他の5人に負けるから」という一言*1が、それを表していた気がする。


ジェシーには多彩でハートフルな歌声、京本さんには高音、そしてミュージカルで鍛えられた圧倒的な歌唱力がある。樹くんはラップ、髙地はボイパ。慎太郎くんはダイナミックなダンスとアクロバット。それぞれがわかりやすく高いスキルを持ったメンバーだ。


これは一オタクの勝手な想像だけれど、そんなメンバーの中で、自分の立ち位置を確立できないという焦り、劣等感がずっと付きまとっていたんじゃないかと思う。

北斗担としては、北斗くんの曲中での魅せ方、ゆびさきの動きから表情の機微、仕草まですべてがどの“表現者”のものよりも素晴らしく見えるのだけど…そこはまぁ置いといて。

表現や魅せ方に関しては、歌唱力やダンススキルのように分かりやすく評価されるものではないかもしれない。上手い!すごい!と誰もが手放しで褒めるような評価を得られない。北斗くんは宙ぶらりんなのかな、と思っていた。

SixTONESにおける「歌」のポジションは、もう埋まっているように見えた。

 

 

だから驚いた。

2019年11月27日、日テレ ベストアーティストにて初披露された『Imitation Rain』。ジェシーと京本さんが歌のメインを務めることは容易に予想できたし、YOSHIKI楽曲と京本さんの歌声の親和性はとんでもないだろうなと想像していた。

思っていた通り、京本さんのソロパート《戻れない 時代(とき)を振り返る〜》が始まる。予想外だったのはそのあとだ。

北斗くんがマイクを構えた。

本当に驚いた。テレビの前で「えっ?!」と声が出たのを覚えている。今までなら京本さんとハモるのは多くの場合ジェシーだった。2人のハーモニーの美しさはSixTONESを紹介する代名詞だろう。そこに北斗くんが加わろうとしている。

マイクを構え、次のフレーズを歌い始めるまでの一瞬、思考が止まった。

3人が歌い始める。複雑なハーモニーで。

北斗くんが、歌で勝負している。北斗くんの声が、大切な1フレーズのハーモニーを構成している。下ハモだ、と理解できたものの、他のことは、もうよくわからなくなっていた。

 

のちに、そのフレーズだけではなく『Imitation Rain』を通しての北斗くんの主たる役割は下ハモであることを知る。ようやくしっくりくる居場所が見つかったのかな、と思った。SixTONESで歌といえばジェシーと京本さん、だったところに北斗くんが加わって3人で歌う場面があることが何より嬉しかった。

 

そして2020年を迎え、開幕したSixTONESのデビューツアー、TrackONE-IMPACT-。ここでライブ初披露となった『Imitation Rain』、そしてカップリングの『Telephone』と『NEW WORLD』。どれも北斗くんが歌で魅せてきていた。下ハモはもちろん、ソロパートも以前より自信ありげに歌っているような気がした。

 

その後、YouTubeにて公開されたImitation Rainのレコーディング映像で、北斗くんがSixTONESで歌におけるポジションが見つけられず困っていたと吐露している。やっぱりそうだったのかと思うと同時に、それが過去形であることにひどく安心した。『Imitation Rain』をレコーディングするにあたって、下ハモを磨き上げるべく職人のように練習したことが伝わる。北斗くんが持っていた歌の可能性が、この一曲をきっかけにひらいていると思う。歌のポジションは、まだまだひろがっていく。曲ごとに変化する歌のかたち。北斗くんが歌で下ハモという居場所を見つけ、堂々と歌う姿を見ているとぞくぞくする。

 

北斗くんは、歌という武器も手に入れてしまったのだ…と。

 

 

 

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*1:フジテレビ『RIDE ON TIME』2019.12.20放送分より